「四十にして惑わず」ってホント? (3)


前回までのお話で、「40歳は、もがいてナンボ」ということをお伝えしました。

それなら、「気楽に惑う!」という風に考えられれば良いですが、

「そもそも40歳前後というのは、なぜそんなに悩むのか?」

をもう少し掘り下げてみました。

 

■40歳頃に起こる変化

40歳前後は、いくつかの大きな変化が起こりやすい時期であり、
①外的な変化 と ②内的な変化 の両面から現れます。

①外的な変化 (子どもの成長や親の衰え)

外的な変化は、激しいものであれば、離婚・再婚、(大きな)昇進、
転職や独立、体力的に目立った衰え、などがあります。
これらの変化は、人生に大きなインパクトがあるのは明らかでしょう。

一方で、一見変化がない、仕事も家庭も安定(平凡)と思っている場合でも、
子どもの成長に伴い家庭のあり方(関係性)が変わったり、
親の変化(死や介護などに直面する)による自身の役割変化などがあると、
これまでの自分のままではいられなくなる、ということが考えられます。
子どもの反抗期や受験のタイミングなどは、仕事よりも家庭の問題が大きくなり、
これまで放置していた家庭内での真剣な関わりが求められてきたりします。
また、親を介護施設に入居させるかどうか、という大きな決断を迫られたりもします。

また、世の中の経済環境や社会的価値観の変化などにも大きな影響を受けます。
例えば、新たなテクノロジー(スマホやSNS)が出現したとき、その流行りについて
いこうとするか、「若者にはついていけん・・・」と諦めてしまうか、のスタンスが
ハッキリ分かれ、流行に乗らなかった人はテクノロジーの変化に伴う仕事の
やり方の変化にもついていけない、ということが起こりえます。

 

②内的な変化 (自分の過去を振り返る時期)

内面的な変化も、大なり小なり現れます。過去を見直したくなる時期でもあります。

なぜかというと、この時期になると、周囲で『死』に触れる機会が増え、自分自身も
「限りある命」だという認識が高まり、残る時間をもっと賢明に
使いたい、という

気持ちが湧き出てくるからです。

そして、以下のようなことを自分自身に問いかけるようになったりします。

・これまでの人生で何をしてきたのか?
・妻、子ども、友人、仕事、地域社会などに、どのような貢献をもたらしてるのか?
・自分の中心にある価値観は何か?その価値観が生活にどう反映しているか?
・自分の一番の才能は何か?その才能をどう活用しているか?
・若いころの夢は何だったか?いまは何をしたいのか?
・今の生活をどう変えたら、将来のためにより良い基盤が築けるのか?

 

こうして、さまざまな変化が起こり、「今までのやり方で良いのだろうか?」と
悩むようになるのです。

 

 

■「惑い」を起こさせる、4つの対立(葛藤)

40歳頃は何らかのきっかけで悩むとのことですが、何が「惑い」を起こさせるのでしょうか?
それはユングのいう「個性化」が始まると同時に、様々な「対立(葛藤)」が生じることが原因です。
「対立の克服」は、この時期の発達課題とも言えます。

具体的には、4つの対立が見られるようになります。

1)若さ vs 老い
2)破壊 vs 創造
3)男らしさ vs 女らしさ
4)愛着 vs 分離

 

それぞれの対立については、次回以降で詳しく見ていきたいと思います。

 


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