【第二の人生の輝かせ方 インタビュー編】第1回 認定NPO法人かものはしプロジェクト(前編)


 「第二の人生を迎えるにあたり、自分自身をどうやって活かしていく(社会に貢献していく)か?」は、意外と知るきっかけが少ないのではないでしょうか? 厚生労働省が5年に1回行っている「労働者健康状況調査」によれば、男性の22.4%が定年後の仕事・老後の問題にストレスを感じているそうです。これは、定年後の自分自身の輝かせ方が見えていないということでしょう。

 現代社会においては、定年後であっても、まだまだ色んな場で活躍の機会があります。その一つとして、NPO・NGOにボランティアで貢献することが挙げられます。ただ、ボランティアを行うにも、実はNPO・NGOとの相性というものがありますので、互いを理解する必要があります。

 そこで、「NPO・NGOの現場では、どのような貢献が求められているのか?」について、ボランティアマネジメントに秀でていらっしゃる 認定NPO法人かものはしプロジェクトの共同代表 村田早耶香さんと日本事業統括ディレクター 山元 圭太さんにお話をお伺いしました。

-私がお2人と出会った2008年当時は、かものはしプロジェクトはシニアの方のサポートを上手に得ていらっしゃるな、という印象を持っています。実際のところ、シニアの方はどのような関わりをしてきましたか?

IMG_murata村田       人のつながりを作ってくださる方に応援していただいています。日本人の若者に圧倒的に足りないのは「上の方の人脈」で、すぐにはできないし、シニアの方にご紹介いただかないと繋がっていかないんです。日本の社会って、やっぱり50代60代が動かしているので、繋いでくださる方がおられるのは非常にありがたいです。

 活動資金を集める意味では、中小企業のオーナーのネットワークはとてもありがたかったです。資金で応援してくださったり、人脈を広げるためのアドバイス等をいただき助けていただきました。あと、在カンボジア特命全権大使の篠原さんは「最もカンボジアで愛された日本人」と言われていますが、篠原さんにもご支援いただき、日本での法人格を取ることができました。

 

-シニアの方々が積極的に関わっていらっしゃった当時、事業はどのようなフェーズにあったのですか?

村田       スタートアップではなく、拡大フェーズでした。2006年あたりで、事業規模も4千万円ぐらいでした。スタッフも半分他で働きながら参加してくれている状況で、全く無給の人もいました。そんな中、たまたまNPO法人フローレンス(代表理事:駒崎弘樹氏)でインターンをしていていた学生が、お父さんにかものはしのことを話してくださり、そのお父さんが寄付してくださったのです。その方は、事業再生のプロで、事業再生の中身を伺ったときに「これは是非お会いしたい」と思い、スタッフ総出で会いにいきました。
 最初は、事業に対してのネガティブなフィードバックもありましたが、「3年以内に、かものはしが2千万円ぐらい資金調達できる仕組みをつくろう」とおっしゃっていただき、『二木会』という会合を2007年2月から始め、毎月の幹事が新しいお友達を連れてきていただく仕掛けを作ったり、中小企業の経営者を一人一人紹介してくださり、「活動のことは良く解らないかもしれないけど、俺を信じて寄付してくれ」という風に押していただき、寄付者を増やしていただきました。そのような取り組みを何回かやっていくと、その中で共感してくれる方が出てきて、会員も協賛企業も増えて、結果的に2千万円ぐらいのインパクトがありました。1社から825万円の寄付が入ってきたということもありました。

山元       当時はIT事業の売上を元に現地で活動していました。寄付会員数が200人ぐらいで、寄付金額は2千万円ぐらいだったと思います。それが、シニアの方々に助けられたお蔭で3年後は寄付金額が2倍になりました。寄付の基盤がしっかりしたからこそ、IT事業を無事解散させることができました。

-会員集め以外にシニアの方にお世話になったことはありますか?

村田       まだ25歳だったので、社会人としてのマナーはこうすべきとか、営業スタイルを間近で見られたのが良かったです。キャラクターによって営業のスタイルが違うということも良く分かったし、関係ない話をしているようで、実は重要な情報交換をしていたり、入れた知識をどう膨らませるのか、間合いの取り方など、すごい学びになりました。

 また、トラブルのときに、どのように解決すべきかも教えていただきました。とある企業とのアポイントに遅れてしまうことがあったのですが、事前にお電話でお伝えし、ご了承いただいた上で面談しました。面談はなごやかだったのですが、数年後、とあるきっかけで大クレームを受けました。それも、お会いした方からでなく、社長からだったのです。数年前の出来事を持ち出されたことにもビックリしましたが、さらにクレームの内容が「この団体から金をくれと言われた」という、事実とは異なるものであったため、困惑してどのように対応すれば良いか悩んでいました。そんなときに、シニアの方が「それは相手がおかしい。大人の喧嘩をしに行こう」と、社長も含めた面談を設定してくださり、相手の認識が異なることを先方の社長にもご理解いただけるようにお話してくださいました。
 ちゃんと正当性は主張する、事実として伝えるべきことはしっかり伝える。これは、25歳の私には出来なかったことだと思い、感謝していますし、非常に大きな学びでした。

 さらに、創業当時にはITで大きなクレームがあって訴訟一歩手前まで行ったのですが、そのときもアドバイザーをしてくださっていたシニアの方からアドバイスをもらい、何とか乗り越えることができました。

 お二人のシニアの方の良いところは、「こうしろ」ではなく、「考えて自由にやりなさい。最後は何とかしてあげる」 というスタンスでいてくださったことです。ただ単にアドバイスをするという話ではなくて、困ったときに一緒に動いてくれる。「シビアなときに、どうすべきか?」を助言してくださるのは、経験から来ている部分が大きいと思うので、それを示唆してくださるのは、本当に勉強になりました。

(後編へ続く)

 


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